「地植えしたオリーブってどうやって育ててればいいのかな?」
あなたはこのような疑問をお持ちではないでしょうか?
シンボルツリーで大人気のオリーブですが、育て方を理解しないまま地植えで放置すると枯れてしまう可能性があります。
そこで今回は、観葉植物販売店のミドリスが地植えしたオリーブの育て方を初心者の方でも分かりやすいように徹底解説します。
【この記事でわかること】
オリーブの木の地植えの年間お手入れカレンダー
オリーブの木の育て方|地植え編【項目別】
地植えでオリーブの木が枯れる4つの原因
地植えオリーブの木で実をたくさん収穫する方法
地植えオリーブに関するよくある質問
このような内容となっています。
この記事の内容を実践すれば、初心者の方でも地植えしたオリーブを元気に成長させることができます。
この記事の目次
1.オリーブの木の地植えの年間お手入れカレンダー
まず始めに次のカレンダーをご覧ください。
この年間お手入れカレンダーが「基本管理」となります。
ぜひこちらを覚えておいてください。
次の章で、一つずつ詳しく解説していきます。
2.地植えしたオリーブの木の育て方
この章では、地植えしたオリーブの具体的な育て方を紹介します。
この章で記載の育て方をすれば、元気に健康的なオリーブを育てることができるでしょう。
2-1.植え付け場所は半日以上日光が当たる日当たりが良い場所
オリーブの木を地植えする場所は日当たりが良い場所に植え付けしましょう。
1日6時間以上当たる場所が理想です。
最低でも半日以上は、直射日光が当たる場所である必要があります。
そのため「南向き」「西向きor東向き」のお庭は大丈夫ですが、北向きのお庭はオリーブがうまく育たない可能性があります。
また、南側に大きな家などの建物があり、1年を通して陰りやすい場所も不向きです。
2-2.地植えする場所は、横1m/縦50cm程度掘ってアルカリ性土壌にする
オリーブの木を地植えする際には、土壌をアルカリ性にする必要があります。
オリーブは、アルカリ性土壌原産の植物で、日本酸性寄りの土壌は不向きです。
具体的には土壌ph値6.5〜7.5が理想です。
そのため、植え付け前には土壌改良をする必要があります。
手順は次の通りです。
【土壌改良の手順】
・ph測定値を購入する(1500円程度)
・植える場所の横1m/縦50cm程度を掘る
・オリーブ専用の土を入れる
・ph値を測定し、6.5〜7.5範囲内であれば植え付け
少し大変な作業ですが、何十年も可愛がっていくオリーブを育てるために必要な作業なので、頑張って行いましょう。
オリーブの土が手に入らない場合は、ホームセンターの培養土に苦土石灰を混ぜてphを調整しましょう。
オリーブが喜ぶ環境を作ってあげると考えれば、作業は進んでいくでしょう。
おすすめのオリーブの土は次の商品です。
2-3.水やりは植えてから1ヶ月程度は土が完全に乾いたタイミングで与える
地植えしたオリーブの木は、植栽直後と定植後で水やりが変わります。
次の頻度を参考にしてください。
【植え付け直後〜1ヶ月程度】
・土が乾いたタイミングで水やり
植え付け直後は、まだ根を十分張っていないため、吸水力が弱いです。
そのため、土が乾いたタイミングで水やりをする必要があります。
土が乾いていても、次の日が雨予報だったり、土が湿っている場合は不要です。
定植後は次のような頻度で水やりを行います。
【定植後】
・基本的に水やりは不要
・4月から10月1週間〜2週間雨が降らない場合は水やり(土が乾いてることが前提)
・葉が丸まって水不足の症状が出た
1ヶ月して根付いたら、水やりは原則不要になります。
ただ、気温が高く乾燥した時期に、雨がしばらく降っていない場合は水やりすると良いでしょう。
まだ1m程度の小さい木の場合は、1週間程度、2m以上の大きな株になれば2週間程度を目安としましょう。
基本的に雨水で十分足りますが、過度な乾燥や渇きの状態になった際だけ助けてあげましょう。
自然界でも樹齢1000年以上のオリーブが存在するように、基本的に丈夫な植物です。
高頻度に水やりをすると根腐れを起こす危険性があるので「乾かし気味」で育成すれば問題ありません。
2-4.剪定は2月〜3月ごろに「強剪定」、3月〜7月に「間引き剪定・切り戻し剪定」を行う
まずオリーブの剪定は3つの種類があります。
強剪定:太い幹を切るような強い剪定。樹形を大きく変える時に行う
間引き剪定:風通しを良くするために混み合った枝を切る
切り戻し剪定:20cm以上に伸びすぎた子枝を3割程度切り戻す
このような種類となります。
強剪定
強剪定はなかなかすることはありませんが、樹形を大きく変更する際には2月下旬から3月ごろに行います。
間引き剪定
枝葉が混み合うと、風通しや日当たりが悪くなりオリーブに不具合が出てしまう可能性があります。
特に梅雨から夏の終わりにかけては天敵のゾウムシが活発になるので、梅雨前に間引き剪定を行いましょう。
その際、「絡み枝」と呼ばれる他の枝とは全く違う方向に伸びている枝は樹形を崩すので、カットしましょう。
切り戻し剪定
切り戻し剪定は、20cm以上の小枝を切ることで、さらに良い枝を伸ばすことができるようになる剪定方法です。
20cm以上の枝を1/3から1/2カットします。
注意点としては、枝の真ん中あたりに1月から2月にかけて付く「花芽」(葉っぱの付け根に付く芽)はカットしないようにしましょう。
花芽を残しておくことで、5月ごろに花芽から伸びた小さい枝に実ができます。
2-5.肥料は2月と10月ごろに市販のオリーブ用肥料を与える
オリーブは年2回ほど肥料を与えます。
市販のオリーブ用肥料を与えましょう。
ポイントは3つです。
1.商品ラベルの目安量・頻度に従って使用する
2.オリーブの大きさによって必要量が変わる(商品ラベルに記載あり)
3.肥料の与えすぎに要注意
このような注意点を守って肥料を与えましょう。
また、植え付け時の土に元肥が入っている場合は、半年ほどは肥料が不要です。
葉っぱが黄色っぽくなった場合は、栄養不足の可能性もあるので、様子を見て施肥を検討しましょう。
肥料の中には、オリーブに合わない肥料も存在します。
そのため、オリーブを初めて育てる方はまずは「オリーブ用肥料」を使いましょう。
オリーブに適した養分をプロが配合していますので、そのまま安心して使用することができます。
おすすめの肥料はハイポネックスの「錠剤肥料シリーズ オリーブ用」です。
2-6.病気予防のため「水はけの良さ」「風通しの良さ」を維持する
オリーブの病気の原因の多くは「水はけの悪さ」「葉の密集による風通しの悪さ」が原因です。
そのため、病気予防にはこのような状態を避け、元気にすくすく成長させるのが一番です。
・植え付け時にしっかりと土壌改良をする
・剪定時期に密集した葉っぱを剪定する
この2点が非常に病気予防の有効策です。
万が一、病気になった場合にはすぐに販売店へ相談し、早急に薬剤散布等の対処が必須です。
早い段階で病気へ対処することで、被害の拡大を最小限にすることができます。
2-7.害虫予防のため「剪定」と「薬剤散布」が重要
オリーブの木は害虫がつきにくい植物ではありますが、「オリーブアナアキゾウムシ」という天敵が存在します。
オリーブアナアキゾウムシは7月〜夏の終わりまで活発に動きますが、1年を通して気をつける必要があります。
最悪の場合、食害でオリーブの木が枯れてしまいます。
【予防法】
・剪定で風通しを良くする
・「家庭園芸用スミチオン乳剤」を定期的に散布する
このような予防が有効です。
また、体長が1cm前後なので、発見した際には捕殺と合わせて薬剤散布が有効です。
元気に成長させるためにも、天敵は駆除するようにしましょう。
2-8.強風で倒れないように支柱を設置する
オリーブの木は植えてから1年程度は支柱を設置する必要があります。
理由は次の2つです。
【支柱が必要な理由2つ】
・強風で倒れないようにするため
・風でオリーブが動くと根が安定しないため
特に植えてから1年は、根がまだ深くまで張っていない状態なので、強い風が吹くとオリーブがグラグラします。
せっかく根を張っている最中に動いてしまうと、成長が止まったり遅くなる原因となります。
そのため、支柱を設置して動きにくくします。
支柱の設置方法は次のYouTube動画がとても参考になります。
チャンネル名:グリーンロケットの植木チャンネル 様
動画に支柱設置の具体的手順が解説されているので、ぜひご覧ください。
3.地植えでオリーブの木が枯れる4つの原因
この章では、地植えしたオリーブの木が枯れる原因を4つ紹介します。
【枯れる理由4つ】
1.初期の水不足
2.時期を間違えた強剪定
3.オリーブアナアキゾウムシやハマキムシによる害虫被害
4.「梢枯病」「炭疽病」で枯れる
それぞれ詳しく解説します。
3-1.初期の水不足
地植えオリーブの木が枯れる原因として初期の水不足があります。
オリーブの木を植えた直後は、土壌にしっかり根が張っていないので、吸水力が弱いです。
その状態で、水が不足していると、葉っぱが丸まって最終的には枯れてしまう可能性があります。
そのため、根が定着するまでは土が乾いたタイミングで水やりをする必要があります。
3-2.時期を間違えた強剪定
オリーブが枯れる原因として、時期を誤った強剪定が要因としてあります。
まず、強剪定とは小枝などではなく、太い幹をバッサリ切る剪定となり、大きく樹形を変形させる剪定方法です。
これは通常、2月から3月上旬までに行う必要があります。
これ以降の4月から10月の成長期に行うと、ダメージを負って枯れてしまうことがあります。
また、成長期の強剪定は花付きや実の収穫量が減る可能性もあるので、控えましょう。
3-3.オリーブアナアキゾウムシやハマキムシによる害虫被害
オリーブは、害虫被害により枯れてしまうことがあります。
オリーブの天敵であるオリーブアナアキゾウムシには特に注意が必要です。
オリーブアナアキゾウムシは、オリーブの幹に穴を空けて卵を産み付けます。
幼虫が孵化すると、幹の中を食べて成長するので、オリーブの木にダメージを与えます。
根元を食われると被害は甚大です。
また、根元ではなくても、食害の穴により幹全体に水分や養分が回らなくなり、枯れることがあります。
そのため、家庭園芸用スミチオン乳剤などで対策をする必要があります。
3-4.「梢枯病」「炭疽病」で枯れる
「梢枯(しょうこ)病」と「炭疽(たんそ)病」は、丈夫なオリーブでも発症する病気です。
どちらもカビ(糸状菌)がオリーブに侵入することで発症する病気です。
放置すると、最終的にはオリーブが枯れてしまう可能性がある厄介な病気です。
「炭疽病」と「梢枯病」は、湿度が高い時期(特に梅雨時期)に発生しやすいので、薬剤による予防が効果的です。
トップジンM水和剤などを1000倍希釈で散布しましょう。
4.地植えオリーブの木で実をたくさん収穫する方法
この章では、地植えしたオリーブの木から実をたくさん収穫する方法を紹介します。
前提として、オリーブは苗木から育てて実をつけるまでに4、5年かかります。
そのため、よほど大きな株を購入しない限り、購入後すぐに実をつけることはありませんのでご注意ください。
【たくさん実を収穫する方法】
1.異なる品種を近くに植える
2.適切な管理で実を収穫しやすくする
それぞれ詳しく解説します。
4-1.異なる品種を近くに植える
オリーブの木の中には、ミッションやルッカなど単独でも実をつける自家結実性がある品種があります。
しかし、1本では実の収穫量が少ないため、一番良い方法としては「異なる品種を近くに植える」ということです。
このようにすることで、受粉確率が大幅に上がり、実が付きやすくなります。
特に相性の良い組み合わせは次の通りです。
【相性の良い品種】
ミッション×ルッカ
ミッション×ネバディロブランコ
ルッカ×ネバディロブランコ
マンザニロ×ルッカ
マンザニロ×ネバディロブランコ
シプレッシーノ×ネバディロブランコ
ピクアル×マンザニロ
ピクアル×ネバディロブランコ
ミッション×コロネイキ
これ以外にも、相性の良い組み合わせはたくさんあります。
そのため、検討しているシンボルツリーがミッションの場合「ミッション 相性」と検索して相性の良いオリーブを探してみましょう。
次の記事で紹介している品種はどれも育てやすいものばかりです。
通販で購入できるオリーブの木の種類13選|初心者におすすめの品種も紹介4-2.適切な管理をする
オリーブを健康的に育てることで、実をたくさん収穫することができます。
逆に不健康な場合は、実をつけなかったり、変形した実ができてしまうことがあります。
この記事でも紹介した育て方をベースに次の注意点を押さえておきましょう。
剪定:葉の間にしっかり空気や日光が当たるようにすることで実の成熟を助ける
栄養:窒素、リン、カリウムの3大栄養素の他、カルシウムやマグネシウムなどの微量要素の補給
病害虫予防:実の成熟を邪魔するため、薬剤や剪定などでしっかりと予防
これらを守ることで、成熟した実をたくさん収穫することができるでしょう。
5.地植えオリーブに関するよくある質問
この章では、地植えオリーブに関するよくある質問を紹介します。
1.地植えする時期はいつが良いですか?
3月〜7月頃が良いです。
一番良いは3月・4月・5月です。
オリーブの成長期に植えることで、根の活着を早くすることができます。
逆に、9月〜2月は、地植えするには少しリスクがあります。
根の活着前に冬の寒さを迎え、次のようなリスクがあります。
・根が活着せず、安定しないため倒れる
・吸水力が弱い
・霜に当たって弱る可能性がある(特に寒い地域は要注意)
このようなリスクがあります。
そのため、9月から2月に購入した場合は、一旦鉢植えのまま育てて、春に植栽するのがベストです。
鉢植えの場合は、真冬は霜が当たらない場所に避難することができるので、リスクが非常に低くなります。
2.シンボルツリーとして適している品種はどれですか?
直立型は「ミッション」、開帳型は「ルッカ」がおすすめです
シンボルツリーにオリーブを検討する際には、まずはあなたの好みに合わせて樹形を選ぶ必要があります。
直立型:まっすぐ育つのでスタイリッシュな見栄え
開帳型:横にも大きく広がるのでダイナミックな見栄え
樹形が決まれば、あとは品種を選ぶだけです。
直立型のミッション、開帳型のルッカはどちらも非常に丈夫な種類で、単独でも実をつけるため非常に人気があります。
近くにネバディロブランコなどの受粉樹を植えれば、実の収穫もたくさん可能です。
・ミドリスのオリーブの木販売サイト
3.地植えはオリーブがどれくらい大きさからできますか?
50cm程度あれば十分可能です。
特に春頃に植える場合は、50cm程度でも冬を迎える頃には20cm程度成長しているので、可能です。
逆に8月などに50cmの苗木を植えるのはおすすめしません。
鉢植えで冬越しをしてから春に植えましょう。
4.葉がまるまるのはなぜですか?
水切れの可能性が高いです。
葉っぱが丸まって、葉っぱに水分がない場合は水切れの可能性が高いです。
すぐにたっぷりの水やりを行いましょう。
5.寿命はどれくらいですか?
1000年以上生きる植物です。
オリーブの木は非常に高寿命で知られ、世界では樹齢2000年以上の個体も確認されています。
適切な管理を行えば、健康的に長生きできます。
逆に、「地植えでオリーブの木が枯れる4つの原因」で紹介したような誤った管理をすると、すぐに枯れてしまいます。
6.地植えで育てやすい品種はどれですか?
育てやすい6品種を紹介します。
オリーブの木はほとんどの品種が育てやすい部類に入ります。
直立型:ミッション、シプレッシーノ、ひなかぜ
開帳型:ルッカ、ネバディロブランコ、ピクアル
これらは、どれも育てやすい品種です。
ただ、品種によっては病気に弱かったりするものもありますので、事前に調べるようにしましょう。
次の記事で紹介している品種はどれも育てやすいものばかりです。
通販で購入できるオリーブの木の種類13選|初心者におすすめの品種も紹介・ミドリスのオリーブの木販売サイト
7.地植えしたオリーブが倒れそうな時はどうすればいいですか?
支柱を多めに設置しましょう。
オリーブの木を地植えする際には、基本的に支柱を設置します。
倒れそうということは、支柱の設置をしていないか、設置方法を間違えているかです。
支柱を増やして、頑丈にしましょう。
8.冬越しする方法はなんですか?
地植えは特にすることはありません。
地植えできる地域は-5度を下回らない地域です。
寒冷地などで植えることはできません。
地植え可能地域に植えた場合は、特にすることはありません。
唯一あるとすれば、冬までに大きく、健康的に育てて厳しい冬を乗り切りやすくすることです。
9.根っこはどれくらい張りますか?
一般住宅で2、3mまでの高さなら最大でも根の深さは60cm程度です。
もっと大きくなれば、それに伴って深くまで張ります。
横に伸びるのはおよそ60cm程度までで、オリーブの樹冠(枝が広がる範囲)とほぼ同じ程度です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、地植えしたオリーブの育て方について詳しく解説しました。
この記事を簡単にまとめます。
オリーブの木の地植えの年間お手入れカレンダー
オリーブの木の育て方|地植え編
1.植え付け場所は半日以上日光が当たる日当たりが良い場所
2.地植えする場所は、横1m/縦50cm程度掘ってアルカリ性土壌にする
3.水やりは植えてから1ヶ月程度は土が完全に乾いたタイミングで与える
4.剪定は2月〜3月ごろに「強剪定」、3月〜7月に「間引き剪定・切り戻し剪定」を行う
5.肥料は2月と10月ごろに市販のオリーブ用肥料を与える
6.病気予防のため「水はけの良さ」「風通しの良さ」を維持する
7.害虫予防のため「剪定」と「薬剤散布」が重要
8.強風で倒れないように支柱を設置する
地植えでオリーブの木が枯れる4つの原因
1.初期の水不足
2.時期を間違えた強剪定
3.オリーブアナアキゾウムシやハマキムシによる害虫被害
4.「梢枯病」「炭疽病」で枯れる
地植えオリーブの木で実をたくさん収穫する方法
1.異なる品種を近くに植える
2.適切な管理をする
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。
・ミドリスのオリーブの木販売サイト
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