「ハイブリッド除草剤ってどんな除草剤なのかな?」
「自分が使う場合に、得するのかな?」
あなたはこのような疑問をお持ちではないでしょうか。
実はハイブリッド除草剤は魅力的な種類の除草剤で、使い方次第では非常に便利な除草剤です。
そこで今回は、年間数万平米の敷地を管理する農薬管理指導士のミドリスメンバーが、ハイブリッド除草剤について詳しく解説します。
【この記事でわかること】
・ハイブリッド除草剤の特徴とメリット、デメリット
・おすすめのハイブリッド除草剤7選
・効果を最大限発揮させるための使い方のコツ6つ
このような内容となっています。
この記事を読めば、ハイブリッド除草剤の基本的な特徴と適切な商品選びができるようになり、実際に散布する時にも効果を最大限発揮できるようになるでしょう。
1.ハイブリッド除草剤とは?
この章では、ハイブリッド除草剤の基本について解説します。
どんな効果があり、メリットデメリットを紹介していきます。
1-1.ハイブリッド除草剤の定義
この記事では、ハイブリッド除草剤の定義を「茎葉処理型+土壌処理型の効果を併せ持つ除草剤」とします。
一般的に広く流通している除草剤の種類についてまとめました。
目安としてご参考にしてください。
※商品(成分)、散布濃度、散布状況、散布時期(気温・天候・季節など)、雑草の種類、雑草の背丈によって異なります。
種類 | 茎葉処理型 | 土壌処理型 | ハイブリッド |
形態 | 主に液体 | 主に粒剤 | 主に液体 |
成分の吸収方法 | 葉と茎から吸収させる | 根から吸収させる | 葉と茎から吸収させる 根から吸収させる |
散布対象 | 今生えている雑草 | 今生えている雑草 これから生えてくる雑草 |
今生えている雑草 これから生えてくる雑草 |
雑草の草丈 | 100cm程度までの雑草 | 30cm程度までの雑草 | 50cm程度までの雑草 |
効果が出るまでの時間 | 散布後、数時間 | 散布後、2〜3日 | 散布後、数時間 |
効果の持続時間 | 持続性なし (成分が触れた対象のみ有効) |
3ヶ月〜10ヶ月 (散布条件により異なる) |
3ヶ月〜10ヶ月 (散布条件により異なる) |
散布時期 | 春・夏・秋(雑草の生育期) | 年中散布可能 | 春・夏・秋(雑草の生育期) |
このような違いとなります。
1-2.ハイブリッド除草剤のメリットは「すぐ駆除ができる」と「さらに長期抑制」のダブル効果
ハイブリッド除草剤は、2つの効果を併せ持つ便利な除草剤です。
茎葉(けいよう)処理剤:茎・葉っぱから成分を吸収し、根っこまで回って枯らす除草剤(今生えている雑草の駆除)
土壌処理剤:土の表層に処理層を作り、根に成分を吸収させて枯らす除草剤(これから生えてくる雑草も長期間抑制)
通常の除草剤は、上記の「どちらかの効果」が基本です。
しかしハイブリッドは、「両方の効果がある除草剤」です。
茎葉処理型のメリット:茎葉から成分を吸収させ雑草を素早く枯らすことができる
土壌処理型のメリット:除草剤成分を根から吸収させ、地中にも処理層を形成し長期間雑草を防ぐ
今生えている雑草を素早く枯らしながら、次に生えてくる雑草を長期間(数ヶ月間)抑制してくれます。
茎葉処理型除草剤だけ使っても、次に生えてくる雑草を抑える効果はありません。
土壌処理型除草剤は、今生えている雑草を枯らすのに少し時間がかかります。
一発で敷地をきれいにしたい場合はハイブリッド除草剤のメリットが強いです。
「異なる2つの性質が組み合わさったもの」なので、2つの効果がある除草剤は「ハイブリッド除草剤」と呼ばれています。
1-3.ハイブリッド除草剤のデメリットは「少し割高感がある」
ハイブリッド除草剤のデメリットとしては、他の除草剤と比べて少し高いので割高感があります。
通常の茎葉処理型除草剤と、ハイブリッド除草剤では、比較したときに金額の差があります。
これは当然で、茎葉処理型除草剤は雑草の抑制効果がありませんが、ハイブリッドタイプは、2つの効果があるため茎葉処理型除草剤より高くなります。
ただ、散布の手間を考えると「ハイブリッド除草剤の方が割安!」と感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、私たちミドリスでは年間数万平米の敷地を管理していますが、遠方の場合や、真夏に作業を1回で終わらせたい場合は、ハイブリッド除草剤を使用しています。
大きな面積を管理する際に、1回の作業と2回の作業では大きな差になります。
2.おすすめのハイブリッド除草剤7選
この章では、記事のメインである「おすすめハイブリッド除草剤」を7種類紹介します。
紹介する除草剤はどれも人気商品で一定の評価を得ているものばかりです。
ですので、商品の決定方法としては「効果の期間」「対象面積」「雑草の背丈の範囲」を目安にしましょう。
そのため、以下の3つを念頭に商品を見ましょう。
・どれくらいの期間、枯れてほしいか
・自分の散布する場所の面積
・今生えている雑草の背丈
これらを考慮して商品を選ぶことで、あなたにとって最適な除草剤選びができるでしょう。
多くの除草剤が「一年生雑草」と「多年生イネ科雑草」で濃度が何倍も異なります。
生えている雑草によって散布できる面積に大きく差があるので注意しましょう。
レインボー薬品 ネコソギ ロングシャワーV9
商品名 | ネコソギ ロングシャワーV9 |
タイプ | 液体ストレートタイプ |
効果の期間 | 最大9ヶ月 |
サイズ | 2L/4L |
対象面積 | 2Lで17〜100平米(約5〜30坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 1800円〜(2L規格) |
備考 | 雑草の背丈30cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
フマキラー 除草剤 カダン除草王PRO
商品名 | フマキラー 除草剤 カダン除草王PRO |
タイプ | 液体ストレートタイプ |
効果の期間 | 最大8ヶ月 |
サイズ | 2L/4.5L |
対象面積 | 2Lで40〜80平米(約12〜24坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 3500円〜(2L規格) |
備考 | 雑草の背丈30cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
住友化学園芸 草退治メガロングシャワーGT4.8L
商品名 | 草退治メガロングシャワーGT |
タイプ | 液体ストレート |
効果の期間 | 最大330日 |
サイズ | 2.5L/4.8L |
対象面積 | 4.8Lで約56〜480平米(約17〜145坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 3800円〜(4.5L規格) |
備考 | 雑草の背丈50cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
アースガーデン アースカマイラズ 草消滅
商品名 | アースガーデン アースカマイラズ 草消滅 |
タイプ | 液体ストレートタイプ |
効果の期間 | 最大8ヶ月〜10ヶ月 |
サイズ | 700ml/2L/4.5L |
対象面積 | 4.5Lで約56〜225平米(約16〜68坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 3200円〜(4.5L規格) |
備考 | 雑草の背丈30cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
日産化学ラウンドアップマックスロードALIII
商品名 | ラウンドアップマックスロードALIII |
タイプ | 液体ストレートタイプ |
効果の期間 | 最大6ヶ月 |
サイズ | 2L/4.5L |
対象面積 | 2Lで70〜130平米(約21〜39坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 1900円〜(2L規格) |
備考 | 雑草の背丈30cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
住友化学園芸 除草剤 草退治メガロングシャワー2L
商品名 | 住友化学園芸 除草剤 草退治メガロングシャワー2L |
タイプ | 液体ストレートタイプ |
効果の期間 | 最大6ヶ月 |
サイズ | 1L/2L/4L |
対象面積 | 2Lで25〜200平米(約7〜60坪) |
農薬登録 | あり |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 1100円〜(2L規格) |
備考 | 雑草の背丈30cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
アースガーデン 除草剤 おうちの草コロリ【食品由来】
商品名 | おうちの草コロリ |
タイプ | 液体ストレート |
効果の期間 | 最大1.5ヶ月 |
サイズ | 2L/6L |
対象面積 | 6Lで約30〜120平米(約9〜36坪) |
農薬登録 | なし |
農耕地 | 使用不可 |
価格 | 2400円〜(6L規格) |
備考 | 雑草の背丈50cm以内が対象(それ以上の場合は刈り取りの必要あり) |
3.ハイブリッド除草剤の使い方のコツ6つ
この章では、ハイブリッド除草剤の使い方を詳しく紹介します。
適切な使用方法で散布することで、効果を最大限発揮することができます。
別記事でも解説していますので、合わせてこちらもお読みください。
除草剤の使い方|雑草を本気で枯らす散布方法をプロが解説3-1.液剤タイプの場合
まずは液剤タイプのハイブリッド除草剤の使い方を説明します。
次の2つのポイントを押さえておきましょう。
タイミング:数日間は雨が降らない時
散布方法:雑草に満遍なく散布する
液剤が除草剤に吸収されるまで数日かかる商品が多いです。
その間に強い雨が当たると、成分が落ちてしまう可能性があります。
散布方法は「雑草に満遍なく当たるように」が基本です。
この2点を守って散布をしましょう。
3-2.粒剤タイプの場合
ハイブリッド除草剤で粒剤タイプは非常に珍しいですが、もし購入する場合は以下を参考にしてください。
粒剤タイプを使う場合は次の2点を守りましょう。
タイミング:数日間は雨が降らず、風も弱い時期
散布方法:事前に地面を湿らし、満遍なく散布
まず粒剤を撒くときには雨と風に注意です。
どちらも撒いた粒剤が敷地の外へ流失してしまう危険があるためです。
せっかく撒いても効果が出なくなってしまうことがあります。
次に散布方法は「事前に地面を湿らす」と「満遍なく散布」を守りましょう。
地面を濡らすことで、粒剤が溶けやすく、風などでも飛ばされにくくなります。
満遍なくというのは液剤と同じで、しっかりと雑草の近くに散布するようにしましょう。
散粒器を使うと、きれいに満遍なく撒くことができます。
3-3.【液剤粒剤共通】散布濃度は「商品ラベルを遵守」
ハイブリッド除草剤の散布濃度は、液剤も粒剤も共通で「商品ラベルを遵守すること」が基本です。
次の画像をご覧ください。
画像引用元:レインボー薬品 公式ホームページ
こちらはレインボー薬品の「ネコソギシャワーV6」の商品ラベルに記載されている濃度です。
スギナ 雑草生育期:40〜120ml/m2
これは1平米(1m×1m)あたり40mlから120ml散布するので、4Lの容量の場合、面積としては33平米から100平米ほど散布できるということです。
しっかりと枯らしたい場合は、この商品ラベルの濃度の中で「一番濃い濃度」が目安です。
3-4.強雑草の場合は、効果が高い時期に散布する
生えている雑草がスギナやクズ・ササなど、「強雑草」と呼ばれる種類の場合は、一番効果が高い時期に散布するのが良いでしょう。
スギナ:5月〜6月
クズ:9月〜10月
ササ:9月〜11月
このように種類によってベストタイミングが異なります。
一年生雑草の場合はあまり気にしなくても良いですが、多年生の雑草の場合は毎年の話になるので、効果が高い時に撒くのが商品のコスパを上げる秘訣となります。
3-5.注意点は「商品ラベルを順守すること」
除草剤を散布するときは、購入する商品の「商品ラベルを遵守」というのが基本です。
・適用雑草と使用方法(※3-3で解説)
・効果、薬害等の注意
・安全使用上の注意
・保管上の注意
これらが商品ラベルに記載されています。
効果を最大限発揮し、安全に使用・保管するために、購入時にしっかりとラベルを読み、使用前にも再度読むように心がけましょう。
3-6.冬の間は茎葉処理型成分の効果が落ちるので注意
雑草の生育が緩慢な冬は、茎葉処理型成分の効果が非常に落ちてしまいます。
特にグリホサート系の成分が落ちやすくなります。
基本的に、茎葉処理型の場合は、雑草の生育期に散布をしますので、ハイブリッド除草剤の場合も同様です。
そのため、冬の時期は土壌処理型除草剤の散布がおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、ハイブリッド除草剤について詳しく解説しました。
簡単にまとめます。
ハイブリッド除草剤の基本情報
種類 | 茎葉処理型 | 土壌処理型 | ハイブリッド |
形態 | 主に液体 | 主に粒剤 | 主に液体 |
成分の吸収方法 | 葉と茎から吸収させる | 根から吸収させる | 葉と茎から吸収させる 根から吸収させる |
散布対象 | 今生えている雑草 | 今生えている雑草 これから生えてくる雑草 |
今生えている雑草 これから生えてくる雑草 |
雑草の草丈 | 100cm程度までの雑草 | 30cm程度までの雑草 | 50cm程度までの雑草 |
効果が出るまでの時間 | 散布後、数時間 | 散布後、2〜3日 | 散布後、数時間 |
効果の持続時間 | 持続性なし (成分が触れた対象のみ有効) |
3ヶ月〜10ヶ月 (散布条件により異なる) |
3ヶ月〜10ヶ月 (散布条件により異なる) |
散布時期 | 春・夏・秋(雑草の生育期) | 年中散布可能 | 春・夏・秋(雑草の生育期) |
・メリットは「すぐ駆除」と「長期抑制」のダブル効果
・デメリットは「少し割高感がある」
おすすめのハイブリッド除草剤7選
1.レインボー薬品 ネコソギ ロングシャワーV9
2.フマキラー 除草剤 カダン除草王PRO
3.住友化学園芸 草退治メガロングシャワーGT4.8L
4.アースガーデン アースカマイラズ 草消滅
5.日産化学ラウンドアップマックスロードALⅢ
6.住友化学園芸 除草剤 草退治メガロングシャワー2L
7.アースガーデン 除草剤 おうちの草コロリ【食品由来】
ハイブリッド除草剤の使い方のコツ6つ
1.【液剤タイプの場合】
・タイミング:数日間は雨が降らない時
・散布方法:雑草に満遍なく散布する
2.【粒剤タイプの場合】
・タイミング:数日間は雨が降らず、風も弱い時期
・散布方法:事前に地面を湿らし、満遍なく散布
3.【液剤粒剤共通】散布濃度は「商品ラベルを遵守」
4.強雑草の場合は、効果が高い時期に散布する
5.注意点は「商品ラベルを順守すること」
6.冬の間は茎葉処理型成分の効果が落ちるので注意
このような形となります。
この記事があなたのお役に立てれば幸いです。